【2018.6日産株主総会】~若者が車を買える日本を取り戻したい!~
役員が高額報酬の日産。それでもファンはゴーン取締役を支持し、エールを送る。
約1名の不規則発言と発言ルール違反があったものの今年も穏やかな日産の株主総会だった。
日産の株主総会の魅力は、車の展示と懇親会である。
会の壇上で質疑応答に答える取締役に加えて執行役員とも気軽に話ができ、エールを送ったり、写真撮影もできる。
総会では勇気がなくても懇親会で各テーブルを回ってもらえれば気軽に聞ける。
今年は予想を上回る出席者で会場が確保できなかったが来年は行いたいとのことで、来年も是非行きたいと思いながら冒頭のゴーン取締役の話を聞いた。
今年の気になるところは、不祥事の連発であろう。日産の不祥事とは、二つある。
一つ目は、国内生産において無資格者の完成検査の件である。
58の課題を掲げ、51は実施および着手をしたそうだ。検査員も346名から457名に増員し、今後も増員予定だという。
内部監査室の設置や検査をリアルタイムにチェックできるシステムも導入予定ということだった。
検査員の増員は人材投資であり、技術者は今日明日で育つものではないので、技術の日産とかつて呼ばれたことを思い起こし、今後も投資してほしいと思う。
また、新システムの導入は設備投資であり、こちらも非常に重要な投資だ。
デフレの今、設備投資はしずらい投資だが、安心安全のために、欠かせない投資であり、支持したい。
二つ目は、外人技能実習生の不適切な待遇である。
世界において、日本の技能実習性は現在の奴隷と非難されている。非常に残念だが、日産でも行われていた。
言葉や文化が異なる人材の採用だけでも非常に難しい。世代が異なっても意思疎通ができないこともままある。
学びと労働というのはきれいな言葉だが、外人技能実習生の採用は会社の社会貢献の範囲内で行うべきであり、安い賃金のため、に行うべきではない。
日本政府も日産を含めた企業や農家など心してほしい。
ちなみにゴーン取締役は前年より2割以上ダウンするも7億3000万円、無資格検査の責任者として頭を下げた西川CEOはCEOになったこともあり23%UPの5億円。
株主総会は総じて好意的なもの、意見、質問だったが、批判的なものもあった。
質疑応答は質問希望者が整理券を受け取り、抽選で7名が質問できる。
抽選にもれた質問者は、出口付近の従業員控室のような簡素な部屋に通され、名前・住所・整理券番号を記入し、質問事項を書けば後日、紙で返答がもらえるというシステムだ。
一人2問まで3分以内、抽選という公平なシステムはいい。
総会にこない場合も事前質問が可能で、株主総会の案内状に、質問用紙と出席届のはがきが同封されている。今年は300件ほどの事前質問があったそうだ。
整理券を持つも抽選に外れて質問事項を記入した方からお話を伺うと・・・
「株主総会で薦めるように、言われたのにあんな部屋でびっくりした。」
「一昨年は返事がきたけど、去年は返事が来なかったんだよ。」
「せっかく来たから、書かないとね・・・」などの会話があったそうだ。
批判的な質問者は、「不祥事があったが、誰がどう責任をとったのか?スバルは引責辞任している。」とのこと
⇒西川CEOが報酬の一部返上を申し出た、ゴーン取締役が返答。
しかし、実際返納したか、返納予定なのか分からない回答で、金額も不明だった。
辞任も返納もないのではないか、と個人的には印象をうけた。
グローバル企業らしく、前年より純利益が増加し株主配当は通年48円/株から53円/株にUP。
今年の見通しは営業利益も純利益も黒字ながらも昨年よりも下がる見込みなのに57円/株にUP。
何それ?では、何を削るの?
いい人材には報酬が必要と毎年報告と、質疑応答前の2回もゴーン取締役は力説する。
それは、同意見であり、従業員の給与も同様であろう。
給与により人材投資をすることは大切であり、労働分配率は7割は欲しい。
大手企業の平均は43%と言われ、失われし20年間に69%から43%へ激減した。
その分増加したのが内部留保ならびに投資家への配当である。
今年は日本市場での販売台数を見込んでいる日産。
若者の車離れというが、子供をみても分かるように車が嫌いになったのではない。
単純に貧乏だから車が買えない若者が増えたのだ。若者が車を買うには、安定した雇用と収入で車を買う預金やローンを組める身分であることが大前提だ。
日産よ、日本で車を売るべく、従業員に給与をしっかり払い、安定雇用をせよ。
人は継続的に働くことにより人材が人財になるのである。
自社の従業員の車の保有率と労働分配率ならびに給与と待遇を見直し、デフレ脱却と車の販売の向上を目指し、給与による人材投資&技術の日産と胸を張ってほしい。