五輪なか抜き、竹中平蔵で話題の『パソナの株主総会2021年見聞録』 質疑応答を再現‼️
東京駅直結のステーションコンファレンスの5階にて、パソナグループの株主総会が行われた。
昨年の会場より、随分とこじんまりとしており、検温とアルコール消毒ののちに席に案内される。
座席の間隔は1mほどで、縦7席、横4.5席で、昨年より窮屈に感じた。
参加人数は昨年と変わらないだろうが、ほぼ満席で、両方の壁側にスタッフが5名ほどいたからだろう。
定刻13:00
司会者が南部代表取締役を紹介し、南部代表が挨拶。
コロナの感染予防のため時間短縮で行う。「昨年同様、竹中と私の話は遠慮させていただきます。」
13:04事業報告
スクリーンを使用し、司会者が読み上げ。
(来場者にはスクリーンと同様の資料が配布される)
13:10決議事項の読み上げ
13:12質疑応答(入場券番号と名前をつげる)
①0002
健康経営を掲げ、健康宣言をしているが、風疹についての対応はどのようにしているのか。
政府は42-59歳の男性に、風疹ワクチン接種クーポンを初めて配布したが、パソナはどうか。
→国の施策であり、一般的に啓蒙されている。
ワクチン接種は個人個人の問題であり、会社としては提起はしていく。
②0007
招集通知に、来場を控えるように書いてあるが、他社のように株主に総会のライブ配信をしてほしい。
→提案ありがとうございます。
スーパーシティ法案が通過し、31の都市が名乗りをあげているが、それに対応する人材育成はどのようにアプローチしているのか。
→デジタル、DXについて、デジタルツールを活用している。
社内のロボット、AIの活用のノウハウを外販に繋げており、今後も推進していく。
③0005
オリパラの利益は、どのセグメントに、どの程度、いつ頃計上されるのか?
→オリパラのサポーターだが、当社において利益は軽微。パブリックと民間のスポンサーを介してサポートしている。
中抜き報道がされているが、正当な仕事なので反論しないのか?
→一部SNSでの報道。オリパラも通常の派遣と同じであり、BPOと派遣と二つに売り上げを計上する。
竹中取締役がYouTubeをはじめたが、パソナの取締役としての発信はしないのか、考えを聞きたい。
→政策研究者としての考えを発信するチャンネルで、パソナ取締役としての発信はしない。
心無いメッセージには反論したいとも思うが、政策のチャンネルなので行っていない。
④0015
デフレにおいて、民間だけでなく政府や自治体の仕事も大切だと思うが、子会社の自治体の受注した仕事について知りたい。
今年防衛省の福利代行サービスを子会社ベネフィット・ワンが受注したが、利益見込みと今後は他の省庁にも拡大していくのか。
横浜市の中学校の弁当配達サービスのコールセンターの仕事を子会社ヴィーウィズ受注しているが、どの程度の利益があるのか。
また、弁当の評判が悪く給食に変わったとき、どのように利益を確保していくのか。
→個別の案件への回答は無理。
自治体や官公庁の仕事は入札と審査のため、過剰な利益はとれない。
仕事は単独、複合のケースがあり、住民サービスと公共サービスの提供は今後も強化していく。
⑤0001
デジタル、コンピュータの開発研究や金融といった、人材派遣以外の分野への進出予定は?
→新規案件は、BPO全般、アウトソーシング全般。DXをからめていく。
淡路島から、地方創生事業に注力していく。
13:31あと一人。と南部代表取締役。
⑥0006
退任者への株式譲渡の理由は?
→業績連動型のため、株式で報酬を支払っている。パソナは10年勤務し退社したが、子会社に異動して現在も活躍中。
テレワーク推奨によりBPOが空前の利益だが、今後の展望の見解は?
→BPO利益は14%増加。テレワーク事業、コロナ対策の給付金、民間のDXが要因。
コロナ以前のリーマンショック以降から増加しており、今後も伸びていくので継続して強化していく。
13:35採決
1号議案:監査等委員以外の5名の取締役の選任
2号議案:監査等委員4名の選任
13:36
新任の監査等委員を紹介
13:37閉会
企業依存から個人自立の社会というパソナ。
官から民へ。とのスローガンをこの20-30年間耳にしてきた。
パソナの竹中取締役はその中心的な人物であり、批判されることが多い。
日本は災害大国であり、土建国家と昭和の時代は言われてきた。
入札制度は、一定の技術をもった企業が公共事業を請け負い、地元を熟知した集団が地元に利益をもたらしてきた。
雑な仕事をすれば入札資格をはく奪されるため、不正の抑制効果もあった。
当然のことだが、公共事業の獲得をすること自体は批判されることではない。
批判されるのは、受注する側であるパソナの取締役である竹中平蔵氏が、政策研究者として政府の諮問機関のメンバーとなり利益誘導をしていることなのだ。
東京五輪2020への人材派遣の問題も、パソナ以外を利用する場合は書類を提出。という不条理。
大金が動く持続化給付金の入札は無名のペーパーカンパニーが受注する不自然さ。パソナからの出向者らが在籍するももぬけの殻。
災害時に地元民の誘導までも担う役所はコストカットを要求され、役所の人は正規雇用からパソナの派遣スタッフに。
株主総会でもパブリックと連呼したように、官公庁や自治体の仕事を重要視しているパソナ。
それは、パソナだけではなく、日本の発展をささえてきた鉄道や道路などのインフラなどを担ってきた企業や人々も同様である。
後者は国民の生命や財産を守るために、人材派遣より国家としての重要度がむしろ高いともいえる。
そして、住民サービスに注力というが、公務員は利益をだすのではなく公益のために働く仕事である。
有事に本領が発揮されることも多く、民営化とコストカットによるギリギリの人員ではやっていけない。
事実、千葉の水害の事案では、電柱が倒れ電気が不通になっても現地にいける余裕のあるスタッフがおらず、復旧に時間がかかった。
電柱と大木が倒れていても、公共事業の削減により重機をあつかえる職人もいなかったのだ。
公務員のイメージをさげ、予算を削るのは、政策通でも経済通でもない。
少なくとも、官公庁や自治体の仕事を積極的に受注していくパソナの方針と、竹中氏が声高に叫ぶことは矛盾している。
政府が彼を重用し、我田引水をさせることは不公平極まりなく、公務員攻撃は国家衰退につながる。
お上という言葉は信頼から、お巡りさんや郵便屋さんは親しみからだと私は思う。
多様化、多文化ということは、外国の猿真似ではなく日本らしくあってもいいということだ。
災害大国の日本にとって、持続可能な社会とはお互い様の精神と公助があるという安心感だろう。
津波や地震などの災害時に、道路が寸断されれば口座残高がいくらあっても、何も買えないし、下水道が破壊されればトイレも使えない。
その時に、何が必要で何が大切なのか。
災害時に技術者が足りない発展途上になり果てた日本の再興は、ピンハネでも英語ゴリ押しでもなく、国家による公共投資、教育投資が必要不可欠なのだ。