死屍累々の外食産業の中、一人勝ちの『マクドナルド株主総会見聞録』スマイル・ホスピタリティーに驚く
東京が花曇りの、2022年3月29日、第51回、日本マクドナルドの株主総会に初めて出席した。
場所は大再開発中の渋谷・ヒカリエ11階で13時開始
出席者、おおよそ250人くらいか。
外食産業がコロナ禍で悲鳴を上げる中、店舗増加、増収増益の一人勝ちの会社の総会ってどんな感じ?の好奇心から出席した。
12時45分から会場内の大画面に流れる懐かしいCM
マックファンならずとも、見たことあるーの数々のヴィンテージCMは「いらっしゃいませ」とお茶を出されたかのようだ。
議長である日色社長の挨拶の後、インターネットからの質問と回答に続き、事業報告も映像に25分にまとめられたものが流された。
以下、ネットと会場での主だった質問と回答を書いてみたい。
「質」「回」で担当者名は省かせていただく
質「ウクライナ情勢で御社は影響があるか?」
回「今のところない。しかしサプライチェーンの観点から長期化することを憂慮する。」
質「マックフライポテトが販売中止になった。
国内産にできないか?」
回「マックフライポテトの長さの大きいイモは日本にはない。」
質「知りあいが、マックの新宿の某店舗で働いている。近くの店舗が24時間営業をしなくなり客がそこに来る。さらにウーバーなどの配達マックの為、超忙しいと嘆いている。」
回「デリバリーが増え、お客様にご迷惑をかけ、申し訳ない。
人員確保、教育を徹底する」
質「木村拓也のCMがいいですね」
回「CMにはストーリー性を持たせてる。スーツ姿で一人で店舗に入りにくいという声をいただき、スーツ姿の木村拓也さんにした」
質「元社員の某ユーチューバーがマクドナルド社員だった肩書きを利用し、経営塾や自己啓発セミナーを主宰し、その内容はいかがなものかがある。
ブランドを大事になさる御社はどう考える?」
回「ユーチューブはよく見てない。しかし調べ、ブランドを棄損すると判断した場合、しかるべき措置をとりたい」
質「高齢者に塩分控えめのメニューを考えてほしい」
回「マックフライポテトなどは、塩抜きでとオーダーできます。シニアのためも今後考えていきたい」
他にもあったが割愛する。
今回、マクドナルド株主総会に驚いたことがいくつかある。
1
質問者の話をじっくり聞く議長
質問者は素人ゆえ、話が下手な人が多い。
議長の社長から、冷たく
「要点をまとめてください」
「質問ですか?ご意見ですか」
「簡潔にお願いします」と
質問の途中、壇上から一発かまされた方は多いだろう。
こうして質問者をびびらせる議長は数多いる。
しかし、ここは、
話している人のコシを全く折らず、話易い雰囲気で聞く。
これは珍しいことだ。
2
スタンドマイクなし。
多くの企業は質問者を所定のスタンドマイクまで来させ立たせて質問させる。
しかしマクドナルドはマイクを持ってきてくれ、自席に座ったままで質問できる。
ホスピタリティーを感じる。
多くの来場者の好奇の目に晒され、スタンドマイクまで歩いて行くのは罰ゲームだと思う。時間の無駄でもある。
国会じゃあるまいに。
3
回答した広報の女性が驚くような笑顔と明瞭な話し方で質問に応える。
いくら作り笑顔、商売用と思ってみても、あれはスゴい❗️
19万人のクルーにスマイルだと日々教育してる本部はこうして見本を示しているのか。
なにか、劇団員のようだ。
プロの仕事を見た思いがする。
4
昨今
「コロナ禍ですので、早めに総会を終わらせたいと思います」を最初にいう議長ばかりだ。
しかし、マクドナルドはそれがなかった。
それどころか、2時間を軽く越えたのだ。(当方は次の予定の為、15時前に退場)
質問したい株主がたくさん挙手しているにもかかわらず、無視しさっさと終わらたがるのが日本の企業の株主総会。
なにこれ?
聞いてますか?日本郵政の増田さーん。
早いのはいけません。
日色社長は冒頭、コロナ禍でお客様の行動、生活様式がかなり変化したと述べた。
外出する人が減ったが、デリバリーが増え、街にウーバーや出前館のチャリやバイクが目につく。
社会の変化を商機にしたマクドナルド。
常に客に寄り添う努力と、些細なことを見逃さない日々の努力が、この大災害とも呼べるコロナ禍に即対応できたのではないかと、思う。
6月末には株主総会ラッシュが続く。
株主総会を自社のパフォーマンスを見せるいい機会と捉えるか、ヒマな人間相手のめんどくさい儀式と捉えるか。
議決権をお持ちの方は、行ける範囲で散歩のつもりで、出向き、株主総会をその目でご覧になるのはどうだろうか。
6月が今から楽しみである。