株主総会2021日本郵政~自分のことには棚に上げ、他人には厳しい役員はご退場を~
東京タワーがみえる芝公園の横のザ·プリンスタワー東京にて、今年も日本郵政の株主総会が行われた。
ホテルの入口付近に横断幕を持ちビラを配るの人がたち、株主にアピールをしていた。
アルコール消毒をし、1.5メートル間隔に並べられた椅子の並ぶ会場に入る。
今年は130人程度の株主参加のようで、第1会場のみでひな壇の様子がスクリーンに映されながらの総会であった。
定刻10時
増田社長が挨拶し、株主にこう告げスタートした。
総会がYou Tubeのライブ配信であること、
音声が流れるため個人情報には気をつけること、
コロナのため時間短縮で行い、出席役員も最小限とし社外取締役はWEB参加であること。
10:03 監査報告
10:06報告事項
映像にてJPビジョン2025について、説明が流れる。
少子高齢化、デジタル化という社会環境に合わせる。
共創プラットフォームで郵便局ネットワークを活かす。
と説明が始まるも、投資の柱はIT、不動産、新規事業とのこと。
しかし、労働力の減少、株主還元をうたい、どこが共創プラットフォームなのか意味不明の動画であった。
10:14決議事項の説明
10:15事前質問への回答。(総会で取り上げなかった質問はWEB掲載とのこと。)
①取締役には金融の専門家が多いが、物流の専門家もいれた方がいいのではないか。
→取締役には全体的なバランスをみて、法務、金融、財務など多様な見地から選んでいる。
②中間配当なしだが、安定株主のためには年2回の配当が望ましい。
→4-6月の利益余剰金により中間配当はしない。確定申告の対応などで中間配当を見送ったが、今後は検討。
③長崎の郵便局にて9億円詐取事件があったが、民営化以前のことであり、当社か補償する必要があるのか。
→お客様の信頼を最優先する。民営化以前の実損でも被害者には当社が補償する。
10:20議案、報告全てについての質疑応答(会場の案内図の写真)
(挙手した株主のもとに1〜10番台の番号札を持った会場スタッフがかけつけ、社長が札の番号を指名する。
役員席の目の前にあたる株主席前方から若い番号。)
①札3
オーストラリアのトール社への投資失敗の総括をするのか?失敗原因は何か?
米澤常務→会計、税務、ホームセンター、ITの専門家での6200億円で買収したプロセスに問題はないが、見通しが甘かった。
状況が変化し、人件費削減などをしたが、コロナやサイバー攻撃などが業績不振の主要因となり、2021.4に10億円で売却契約をした。
今後は、アジア圏で採算性を向上したい。
②札3
半減した株価についての見解と対策は?
JTやNTTは実施している株主優待だが、当社はどう考えているのか?
飯塚専務→株価は市場の評価だが、要因は様々。現状を真摯に受け止め、企業価値の向上を図りたい。
株主への利益還元は、最重要課題だが、まずは1株50円の配当を保持し、自己資本比率を向上させたい。
③札2
増田社長は当社の株を不所持だが、理由は?株主となり同じ立場で考えてほしい。
財務省の株の売出し予定、民営化予定は?
志摩常務→増田は株は所持していないが、報酬と連動しており株主と同じ立場。持株会への入会はインサイダー取引の観点から加入していない。
飯塚専務→法律により、日本郵政の政府の持ち株比率は1/3。現在は50.7%であり、売却をすすめていくことを承知している。
当社も政府から自社株買いをおこなった。
売却益については。法律により復興財源にあてられることになっている。
④札5
郵便局は隅々までのサービスであり、人手不足により土曜日の郵便配達をやめる事態となった。
郵便物が月曜日に集中する弊害もあり、非正規雇用の定年65歳を撤廃すべきではないか。年齢差別にあたる行為ではないか。
志摩常務→非正規雇用の定年は65歳が。正規雇用は今年度から定年を60歳から65歳に延長した。
最高裁にて認められたこともあり、現時点での65歳定年は変える予定はないが、70歳までの雇用の努力義務などができたことをうけ、年齢バランス、安全面などを踏まえて検討中。
⑤札6
局長犯罪の防止は、転勤なし、世襲による癒着が発覚しにくい要因ではないか?
河本専務→長崎の局長による長期かつ9億円という管理者犯罪だが、他の金融機関のように一律の異動制度は考えていない。
メガバンクは国内拠点が500足らずだが、郵便局は地域に根差し、地域に貢献する立場から18000以上の拠点をもつ。
地方公共団体との共創プラットフォームを目指し、メリットをいかしつつ犯罪の牽制効果を検討していく。
⑦札9
有形固定資産が少ないのでは?
谷垣専務→適切に計上しており、増やすかどうかは経営次第。
⑧札2
補欠取締役を選任しないのか?
志摩常務→現時点では必要ないと考えている。
⑨札7
メガバンクは店舗の統廃合が続き、遠くまでいかないと店舗がない。
郵便局は地域に密着しており、今こそ郵便局の価値があると思うが、35000人の人員削減では、サービスが減るのではないか?
コロナワクチン接種申込みで露見したように皆がデジタル対応できるわけではない。人員削減をしながら地域密着というのはどう考えているのか?
米澤常務→地域に寄り添い密着し、地域貢献をしていくことが郵便局は不可欠。
このことと、人員削減との両立を、実現するには安易に店舗を減らすのではなく、窓口対応の時間や商品の多様化によりしていきたい。
11:04
コロナ対策として、あと質問は2名。と議長提案。拍手で承認。
⑩札4
ゆうちょ銀行と楽天グループとの提携について、出向はあるのか?時期は?
田中常務→3/12公表した提携は、関係強化のため。
提携による可能性を検討し、2021.3配当を50円/株と予定している。
(出向への回答はなし)
11 札10
かんぽ不正問題は、その後どうなったか?社長の声は、現場に届いているのか?
河本専務→業務改善命令により定期的に改善計画に取り組んでいる。
業務再開をした2020.9よりアフターフォローを最優先し、2021.4よりニーズ確認をし新たな営業スタイルに移行している。
社長の増田がタスクフォースをビデオメッセージで伝え、2021年より第三者による消費者コールセンターに照会できる体制なにし、不正ではなくとも理解できていないお客様もふくめた対応をしている。
増田社長→信頼回復が最優先。コロナなのでオンラインで対応さ、全国に私の動画配信を定期的に行い、継続していく。
11:18動議
取締役再任の拒否
11:19採決
11:20拍手にて取締役選任の議決。がなされ、動議は否決され、閉会。
質問者の挙手は会場あちこちであったが、指名されたのは番号札1-6が8名、7以降が3名と会場の半分から後ろは指名が少なかった。
長崎の郵便局長の9億円の着服は問題だが、
トール社6200億円かけて買収し10億円で売却する経営陣の方が会社にも株主にも大きな損害を与えている。
社員の不正は9億円は、高額、長期と質疑応答で回答する役員だったが、
トール社のM&A失敗の損失は、今年売却契約がなされ損失が確定したにも関わらず、損失額を含めた数字も役員の処分も一切口にしなかった。
5年で6190億円の損失をした役員の処分はなく、すでに退職した役員の減額もなく、誰も責任を取らない。
横領した郵便局長は社会的制裁を受けた。
しかるに、トール社の件では誰か社会的制裁を受けたか?
3万5000人を減員して、IT、不動産、新規事業に投資していくという。
今年1月に増田社長はメディアに高齢者向けのサービスを提供していくとのことだったが、目も耳も体も不自由になっていく高齢者にどのようなサービスをするのだろうか。。
相続税対策の土地売買でもやるのだろう?
対面で話をしたい高齢者が多く、地域密着と繰り返しながら、人員削減してどうするのだろう?
地域の後期高齢者や単身高齢者をささえるのは、むしろ65歳以上の人生経験を積んだ方々であり、高齢者サービスに力をいれるのであれば、彼らは寄り添える戦力になるのではないだろうか。
冒頭の写真のように、65歳で首切りを勧告する自分たちは、シモジモと違い「経営感覚がありますから、知見がありますら」というのだろうか。
トール社の件では、「見通しが甘かった」とおバカですとゲロっているではないか。
今回選任された取締役13人の年齢は2021.6.25時点で
増田寛也69歳、池田憲人73歳、衣川和秀64歳、千田哲也61歳(以上取締役)
三村明夫80歳、石原邦夫77歳、チャールズ ディトマース レイク2世59歳、広野道子60歳
岡本毅73歳、肥塚見春65歳、秋山咲恵58歳、貝阿彌誠69歳、佐竹彰65歳(以上社外取締役)
8人が65歳以上で、内4人が70歳以上。三村社外取締役に至っては80歳。
65歳未満は5人のみであった。
株主への返答を聞いてると、後日発表するNTT同様、官僚的がなんか長々話し、字数は多いもののどこか他人事で言葉に魂を感じない。
鼻につく。
増田社長の雰囲気がどことなく、加藤官房長官に似ているのは気のせいばかりでもなさそうだ。
(増田寛也社長 ウィキペディアより、加藤勝信官房長官 首相官邸HPより)
日本中どんな場所にも必ずあるJPの看板を大事にしてもらいたいと会場を後にした。
次はみずほ銀行ファイナルグループ株主総会のブログです。
よろしければお読みください。