【TPPの花形www自動車】日本が貿易立国だと勘違いしていませんか?【TPPとは~その2】
日本にとりTPPの最大のメリットは自動車業界と言われている。逆を言えば、それしかメリットは認識されていない。デメリットは農産物、医療、保険など。加えて、想定外がこれから出てくることも必須だ。
輸出があれば、輸入もある。世界のトヨタをはじめ、Honda、日産、スズキ、マツダなどの世界で活躍するメーカーが存在する日本だが、外国からも車を輸入している。
皆さんも日常で外国産の車を目にすることは多いだろう。特にドイツの車、ベンツやフォルクスワーゲンなどを見かけることは日常茶飯事だ。
トヨタなどの日本の販売店とともにこれらの販売店が並んでいる。このディーラー制度という販売方式が日本の車販売であり、ドイツは日本の販売方式に合わせ、ハンドルも右ハンドルにし日本で発売している。そのため、ドイツ車は日本の車市場で堂々たる地位を築いてきた。
片や、車大国の一つであるアメリカはどうであろうか?
ドイツ車に比べて日本国内で見かけることは圧倒的に少ない。理由はディーラー制度を採用せず、日本仕様の右ハンドルではないからだろう。ドイツは販売店による販売網に投資をし、日本の市場に合わせた右ハンドルを採用したが、アメリカのメーカーはそれを行わなかった結果なのだ。
TPPが発動したら、アメリカはディーラー制度を輸出に不利だと訴える可能性があるということを自動車業界は理解しているのであろうか。TPPにはISDS条項もあり、輸出に不利な販売形式だとディーラー制度を否定し、トヨタやベンツの販売店でアメリカ車も販売するよう要求する可能性もあるのだ。
(2018年現在、トランプ政権にてTPPから離脱。FTAにて日本に上から目線で要求してくることは、火を見るよりも明らかである。)
もちろん、わが国の輸出の25%を占める自動車および関連部品の関税撤廃はメリットがあるのも事実だ。
しかし、利益は為替の変動に左右されるため、わずかな関税よりも為替変動のほうが利益に影響があるのではないだろうか。1ドル80円相場と1ドル120円の相場では利益も日本円では1.5倍になる。
さらに、自動車及び関連部品の関税は即時撤廃ではない、すべての部門を30年かけて関税を引き下げ撤廃するというのが、現状のTPP案である。これが唯一のメリットとはなんともさみしい限りである。
わが国日本を貿易立国だと勘違いしている国民も多いが、果たしてそうであろうか。GDPに占める貿易輸出の割合は15%である。
輸出に限れば、鎖国しても日本経済は破綻せず内需でやっていける国なのである。ただし、石油など現状で輸入せざるを得ない資源があるため貿易は必要ではある。
日本とは逆に貿易輸出に経済をゆだねる国もある。韓国やドイツはGDPの4割以上が貿易輸出である。
このような国は貿易によって経済が左右されるが、GDPの10%しか占めないアメリカや15%しか占めない日本は国内経済の死活問題にはならないのである。
貿易立国という誤った考えを捨て、自動車であれTPPでは有利なことも不利なこともあるという現実を受け入れ、そのほかのことも一つ一つ精査していくことが国会に求められている。
膨大な時間がかかることも認識すれば審議時間40時間、と先の国会で寝言をいった政府は詐欺師としか思えない。
マスメディアは自動車と農産物の対比という極一部の掲載で検証もなにもしない。国民の知る権利に何も答えず、誤解を植え付ける政府の受け売りでは、第3の権力にはならず無用と言われるのは当然であろう。困難な問題こそ、プロがわかりやすく知らせるべきだと私は思う。
トップ画像はブログ【僕の魔法の黄色い靴】様の
記事「 自動車ショー歌 」 1964年・・・小林 旭 さん
より引用・掲載させていただきました。 ⇒ http://kanbara.exblog.jp/18161280/