噂の築地市場&内田ロード訪問ツアー 【オリンピック利権と市場の現状】
豊洲に関心が集まるが、築地市場の現状はどうなのであろうか。原点にもどるべく、移転理由を庶民目線で検証すべく、さざれ石の会代表オスカル太郎らと築地市場に足を運んだ。
山手線の新橋駅からスタートし築地に向かう。新橋はサラリーマンのメッカであり、テレビのインタビュー画面でSL広場をご存知の方も多いだろう。電車の高架下には歴史を感じさせる飲食店が並ぶ。ごちゃごちゃしたイメージだ。
しかしすぐそばの汐留駅周辺は様相がガラリと変わる。日テレ、電通のビルや全面ガラスばりでバブル絶頂期の建物であろうパナソニックのビルなどがそびえ立つ。平日午前中だったが人の姿もろくになく冷たく人工的な街に感じた。
汐留駅周辺。高層ビルが立ち並ぶ近代的かつ人工的な駅周辺。
人工的な一帯を通過すると工事現場が続く。虎ノ門から新橋、汐留周辺を通り、築地市場を通り、豊洲につながる道路の工事だ。かつてマッカーサーが虎ノ門からこの周辺の道路整備を命じたため、通称マッカーサー道路とも呼ばれてきたラインである。
このマッカーサー道路を豊洲までのばすために現在工事が行われており、ラインの途中に築地市場がある。渋滞を解消すべく地下を通過し、築地市場、川にかけられた橋、豊洲と繋がるそうだ。オリンピックまでに開通させる予定で、築地市場に隣接するこの橋は予め他で作ったものを運び1週間で完成させた。市場が移転した跡地はオリンピック用の駐車場にすると、森喜朗元総理の発言もある通りオリンピックに向けて着々と進められている。
この虎ノ門から豊洲にのびるラインは内田道路と呼ばれており、ここの内田とは、もちろん都議会のドン内田自民党議員のことである。
工事中の道路、この地点から地下にもぐる道路が作られている
築地市場の移転理由の原点に戻ると、理由は3つ。
1. 施設の老朽化
2. 衛生管理が困難
3. 過密のために作業が非効率
1. 市場の老朽化は、間違いなかった。舗装された路面のあちらこちらに大きなヒビが入り、仲卸の建物も、場内の店が軒を連ねる建物も一見して老朽化を感じさせるものであった。
場内の店舗のひとつ
2. 衛生管理が困難とのことだが、秋の長雨の期間のせいか水はけが悪く大雨の時は水が逆流することもあるそうで清潔とはいえない状態であった。
舗装面にひびが入り、水はけの悪い路面
3. 過密については、店舗が軒を連ねる建物のみの判断になるが、非常にせまく天井も低く、よく営業できるなと思うほど密集していた。
築地市場にはターレットと呼ばれる荷物を運ぶ小型の車両が多くある。荷物を置く板の前に、燃料と非常に大きな操作ハンドルがついたもので、立ったまま運転する。素早く移動でき、多くの荷物を運ぶために必須のようで様々な名前が入ったターレットが、その日も多く行きかっていた。だが、豊洲では地盤に負荷がかかるために使用禁止という話もあるそうで、本当であれば業務にこまるであろうと感じた。
黄色い車両がターレット
他にも豊洲での作業には様々な疑念が言われている。例えば、海水で魚を洗うことにより魚にボウフラが沸かないそうだが、豊洲では水道水使用だそうだ。これは水道代金に加えて食材の管理でも困るであろう。
作業効率についても、現行のウィングトラックが豊洲市場で横をあけての作業ができず後ろのドアをあけて出し入れするしかないとの話もでており設計にも問題があるようだ。
小池都知事が誕生し、2か月。この一か月、築地市場の豊洲移転問題がマスメディアをにぎわしている。豊洲の問題は、技術的な問題、都庁の事務連絡などの体制、都民や市場関係者への情報開示と問題に分けて考える必要がある。また歴代の都知事や市場のトップの責任も明確にすべきであろう。オリンピック前に道路を開通させるために、移転ありきでは困る。移転理由の3つを解決し、現状より作業効率などが悪化せずに移転や改修をすべきだと思いながら築地市場の場内を後にした。
撮影:アイアイ