【小児用PASMOの危険】実感がわかない電子マネーの恐怖
ピンポーン、幼稚園に子供を送った我が家のチャイムがなった。モニターを見ると民選委員のご婦人。「何かあった?」と彼女が口火を切った。この一言で、週末の我が家の大喧嘩がご近所に響き渡っていたこと、そして民選委員にまで話がいったことを理解した。私事のお恥ずかしい話だが、小学生の子供に激怒し、さらに翌日も派手な夫婦喧嘩をし、私の罵声が連日夜空に響いていたのだ。ご近所の皆様には大変申し訳なかったとしかいいようがない。
我が家は小学1年生から小児用PASMOを子供に渡している。
電子マネーは小銭いらずで大変便利だ。電車やバスも数円お得なこともあり、多くの大人は携行しているだろう。電車の改札口も切符が通れるところは限られており、SuicaやPASMOがないと不自由に感じるほどである。公共機関の乗車だけならば小児用PASMOも同様の理由で大変便利である。便利さしか考えていなかったが、これらは電子マネーであり、コンビニや自動販売機でも使用できるのだ。
長女はそれを知り、好きにお菓子やジュースを買っていた。残高が私の記憶と異なり不思議に思い、履歴を印字したらコンビニ決済が複数あり、買い食いをしていたことが発覚。長女には校則違反でもあり、買い食いはいけないと注意をしたのだが、通学途中のコンビニは娘を誘惑するようだ。再度、同じ過ちを彼女は繰り返した。裏切りにショックをうけ激怒した私は、ご近所に響き渡る大声で「泥棒!」と連呼してしまった。友人宅へ遊びにいきたいという願いの許可も出さなかったが、主人が許可し駅まで迎えにいくことになったが、反省すらしていない彼女は遅くまで帰宅せず、夫婦喧嘩に発展。連日の大声に民選委員の方が訪ねてきたという運びになった。
ご近所迷惑になるほど、私が激怒したのには理由がある。初めてPASMOで買い食いをした時、電子マネーについて説明した。お金だと子供にも分かるように10歳からは本人にチャージさせてきた上、「お母さんのお財布と同じだ。」とも言ったのだ。そしてクレジットカードの話をし、クレジットとは信用という意味の英語で使った翌月に払いますよ、ということなのだと。私は、クレジットカードを使うのは怖くて結婚するまでほとんど使わなかったこと、使ったら記録しておき使いすぎないように今も気を付けていること、などを話して理解させてつもりだったのだ。そのあとのPASMOでの買い食いだったため激怒してしまった。
「子供だけ怒るのはかわいそうだよ。」長女に激怒し、情けなさに顔が腫れるまで泣いた私に友人はこういった。「昔なら隠れてお財布からお金を取らなければいけなかった。それならば、罪悪感もわくからハードルが高い。でも現金ではない電子マネーが母親の財布と言っても子供にわかるはずがない。盗んだ実感もないし、罪悪感もない。暑い時、カードをタッチしたら冷たい飲み物が飲める。お腹がすいた時、カードをタッチしたらお菓子が手に入る。子供にはそれだけで、盗むとか悪いことをしているという感覚はないんだよ。予備のお金ならPASMOにチャージさせず、面倒でも現金にしたらいいよ。それなら使ったら減るのが分かるから。」
私は説明したつもりだった。長男は一度注意したら、それ以降に買った場合には申告をしてきた。それもあり、長男より年少の長女もそうであろうと思い込んでしまった。若者のリボ払い破綻、クレジットーカード地獄もカードの恐怖である。18歳以上であってもそうなのだ。小学生に電子マネーを実感しろというのは難しいことなのだ。便利さの裏側には恐怖がある。スマホでのゲーム課金トラブルなど、子供の理解を超えた電子マネーの世界。
欲しいものを我慢して預金する。最近聞かなくなった言葉だが、大切な基本だ。電子マネーやリボ払いのシステムは、私たちの欲望を増幅させる凶器にもなることを教育しなくてはならない時代の流れに恐怖を感じると共に、私の自覚不足も長女の非行の一因であったことを痛感した。民選委員の方も電子マネーの不正使用で喧嘩になったこと、子供には理解しにくいことを話したら、同意され納得してお帰りになった。
可愛い我が子達が欲望にまけ不正や破綻しないよう教育することが親の責務だ。緊急時用は現金で携行させ、お金の教育も意識して躾をし続けよう。その助けとして小児用PASMOは交通機関限定サービス、スマホのフィルターのような選択制で、を検討して頂けたら嬉しい。