手数料ビジネスに邁進する銀行業界【サラ金より気軽なカードローン地獄】
この数年だろうか、銀行の入り口付近にカードローンコーナーが当たり前のようにある。
マイナス金利の影響、デフレで貸出先に困難、銀行が利益を見出したのは手数料ビジネスである。
カードローンや手数料ビジネスは市中銀行のリーダーである三菱東京UFJ銀行も率先して行っている。
今回のコラムは来月の株主総会シーズンに先駆け、昨年の三菱東京UFJ銀行の株主総会の様子を一部ご紹介したい。
平日昼間、様々な企業の株主総会の日程も重なり、東京で行われることが多いため、足を運べるの株主のごく一部であろう。皆様に少しでも知っていただけたら幸いだ。
昨年の株主総会は、靖国神社のそばにある武道館で行われた。
蒸し暑く途中で気持ちが悪くなるほど満席で、始まる前から帰りたくなってしまったが、吐き気と戦いながら株主総会に挑んだ(笑)。
冒頭平野社長があいさつし、スライドショーのあと、再び、課題と対応方針、主な事業戦略、資本政策を話した。
方針として、マイナス金利を受けて、手数料獲得ビジネスの拡充やグローバル戦略の方針を語っていた。
経営陣の話のあとは、質疑応答という一般的なスタイルだった。
一人目の質問者がプライマリーリダーを辞退したことを英断だと称賛し、日銀へのイエスマンに物申す姿勢を評価し、女性行員の制服復活などへのエールを送る穏やかな滑り出しであった。
銀行の手数料ビジネスについての質問も当然のことながらあった。高齢化社会、金利ゼロの現状において手数料獲得商品のための営業が活発化していることを踏まえこのような質問がで、株主から銀行の営業方針に疑問がでた。
「満期時、営業をするケースなど商品 のリスク説明や認知症の顧客にリスク商品を売らない社員教育をしているのか?」
ここで、珍しく株主から拍手が沸き起こった。(罵声や拍手は株主総会の質疑応答には存在するが、皆無のケースが大半である。)
銀行からの返答はこのようなものであった。⇒ 預金だけでは心配というニーズもある。高齢者へのリス商品販売は訪問による複数回の説明や、図で説明をし、可能であれば身内の立ち会いのもと、という社内研修をしている。
裏を返せば、リスク商品への説明が複数回数なされておらず、パンフレットのみで、判断力が低下した高齢者にも身内の立会いなしで契約をしているということである。
貸し付けで利益を稼げないゆえ顧客からの手数料で利益を上げることを株主総会でも明確にしており、預金から投資へシフトしていることは明確であった。
銀行は国民にとって欠かせず(地方は郵便局が欠かせない)そこにカードローンの機械が入り口に鎮座する昨今。
給与振り込み、公共料金や税金、電話料金の引き落としなど、生活に欠かせない金融機関。
私も個人利用の他、学校の保護者会、ボーイスカウト家族会などでも会計担当として日々足を運ぶが、ベビーカーに赤子を乗せた母親がカードローンコーナーに行く姿には何とも言えない感情が沸き起こる。カード破産はサラ金時代より増えているそうだ。銀行という安心感と特殊に感じないで借金ができる環境、デフレという経済状況。このままでいいわけはないのだ。
銀行は営利団体であるから手数料ビジネスを否定しないが、高齢者詐欺のような下品行為は辞めて欲しい。
そして、マイナス金利の現況を打破すべく提案を政府にしてほしい。
デフレは需要不足であり、需要とは消費と投資なのだ。
戦後インフラを再構築してきた日本は、インフラの老朽化が深刻な問題だ。
銀行は高齢者詐欺スレスレの下品なことはせず、政府に公共投資のための建設国債を提案してほしい。
先日も市場の国債が枯渇のため値段がつかない事態にもなったではないか。金融緩和もこのペースでは来年は無理であろうことは銀行が一番わかっているではないか。
三菱東京UFJ銀行の営業の方々は我が家にもきてくれ、親しみをもっている。だからこそ、現場に詐欺スレスレ行為ではなくコンサルタントとして頑張ってほしいと願ってやまない。
天下のTOP銀行よ、すべてが下品すぎる。襟を正し、銀行マンとして誇りをもち、経済界のリーダーとしてすべきことは銭ゲバではないと気が付いてほしい。
写真:朝日新聞より