【2020株主総会Vol.1】日本郵政~コロナを言い訳に早々に閉会。増田新社長の議事進行に失望~
近年、日本郵政は局員に対する過酷なノルマが、かんぽ不正問題の温床。と国会でも取り上げられ、
社長をはじめ3人が辞任する結果となった。
2020年1月6日付けで新社長に就任された増田寛也氏のご尊顔を拝謁したく、2020年6月17日、日本郵政㈱の第15回定時株主総会に参加した。
株主総会の会場に入ると、新型コロナの感染症対策として、スタッフはマスクと手袋。
株主の席はソーシャルディスタンスで二メートルごと。
会場は第一、第二に分けられ、質疑応答は第一会場のみで、質問希望者は第一会場に移動する方式であった。
定刻10:00
冒頭に謝罪をしつつも、コロナ対策として短縮を宣言し、社外取締役の三村氏の欠席をつげスタートした。
彼は、日本商工会議所会頭、東京商工会会議所会頭をはじめ、日本政策投資銀行、INCJ、東京海上ホールディングス、日本製粉グループ本社など数社の社外取締役を兼任している。
なんとまあ役職の多いこと。彼も「余人をもって代えがたい人物なんだろうか?」
質疑応答を紹介する。
10:13よりインターネットからの質問三問を回答。(質疑応答を簡略化。→以降が回答。)
①13人中9人を占める社外取締役と不祥事について
→社外取締役に情報が届いておらず、改善する。
②中間配当なし
→内部留保を保ちつつ、収益力を向上させ、安定的な株主配当を目指す。
③拠点の削減
→全国あまねく設置が法律で義務づけられている。
各グループの拠点は当グループの根幹であり、顧客の利便性、収益力向上により配置。
10:19より会場にて質疑応答。(内容を変更せず簡略化して表記。→以降が回答。)
第二会場の質問希望者の17名が、第一会場に移動。
質疑応答のうち、拍手が起きた質問と動議をご紹介したい。
拍手がおきた質問は、今回唯一の女性質問者で、郵貯銀行の現役の社員からの、現場の窮状の悲鳴のような訴えであった。
仕事に意見する機会がなく、物申すと孤立する。自身は部下なしの管理職に12年つき、上司に相談するも改善がない。との現状を告白した。
グループ会社が第三者の手に渡るのではないか危惧しており、会社の価値をあげたいとの希望をのべ、
現場の問題に関係なく本社から通達される上意下達の構造を変える具体案をしりたい。
「これにより不利益を被ることにならないように願います。」
→昨年秋より取締役が現場に出向き、話を聞いている。膝を付き合わせたコミュニケーションを予定していたが、新型コロナにより実施できていない。
彼女の最後の言葉こそ、日本郵政の体制を如実に表すものであり、国会でも問題視されたにも関わらず、具体的な対策を何一つたてていないと言うことだけがわかるものであった。
11:02
9人が質問をおえ、「あと二人で質疑応答を終え、採決に移ります。」と増田議長。
11:03
「動議」の声があがる。
「議長不信任」。と告げ、発議事由をのべ始めるも、なぜか急にマイクがハウリングして聞き取りにくい。
質問者のために会場には複数マイクが設置されており、当該マイクは他の質問者が使用中はクリアな音声で、他のマイクも同様であった。
新型コロナウィルスが短縮理由にされているが、第二会場からの質問希望者だけでも17人いる。
ソーシャルディスタンスも確保されており、マスクも着用しており、合理性がない。
11:06簡潔に、と議長がつげる。
マイクへの移動時間を含めて三分。動議をつげ、動議事由を話すのに長い時間だろうか?
彼へ拍手がわくも、議長は、丁寧に説明し感染予防だといい、会場に質疑応答の打ちきりの賛否をとう。前1/3あたりから賛同の拍手。
明らかに半数未満にも関わらず、「過半数の同意を得ましたので、あとお二人と」と議長。
「どうして過半数か!」と動議提案者と他1名の声があがるも無視して、2名の質疑応答へ。
11:15動議の採決。
会場はやはり前方1/3を中心に半数以下の拍手。
「去年より短いじゃないか!」という女性株主の声が響く。
(昨年も11:30頃散会し、新型コロナ対策とは無関係に、昨今の株主総会の流れに逆行する殿様スタイルの総会。)
11:16新任の取締役を紹介して閉会となった。
かんぽ生命の過激ノルマが国会でも議題にあがった今回の株主総会。謝罪するも具体的な対策は皆無。
ソーシャルディスタンスがとられていたものの会場の質疑応答は一時間未満。
会場からも郵政事業150年の記念切手の発売はないのかとの問いに考えていないと回答。
切手収集マニアはもとより、日本の歩みを知る記念切手。
確かにネットが普及したとはいえ、150年の郵政事業は日本人にとり、大いなる慶事にほかならない。
50年、100年も記念切手は発売された。この絵柄には郵便事業を支えた先人の努力を忘れない、働く人への感謝がでている。
郵政民営化は2005年の選挙の大勝利をうけ、小泉元総理の長年の夢が2007年10月に日本郵政という形でスタートした。
「なんで郵便は公務員じゃなきゃいけないんだ?民営化しろ。」で始まったと記憶している。
気が付けば派遣労働激増、職員に過酷なノルマ、愚かしい海外投資で巨額の穴、
現場を知らないくせに年に17回会議に出席でも高額のギャラをもちかえる外様大名の社外取締役がデカい顔をする。
社外取締役の指名委員長の三村氏が欠席とは、ふざけるのもいい加減にしろ!
民営化って何だったのだろう。
コロナ対策のマスク配布やメルカリなど日々の生活を支えるのは、やはり信頼の郵便ネットワークである。
それを支えるのは地元を熟知した郵便局の局員だ。
彼らを1万人削減するのは、海外の郵便事業を鑑みてもおかしな話だ。
日本郵政は再国営化すべきだろう、とこのシャンシャン総会を見て感じた。
(シャンシャン総会とは質疑応答がなされても、双方向の議論もなく形式上で拍手にて終わる総会。)