日産と大違い!現場主義で日本の古き良さを持つ・本田技研工業【平成29年6月株主総会】
昨今、新聞をにぎわす日産の醜聞。日産とならぶ日本の車メーカーにHONDAがある。
株主総会も、HONDAが好きでたまらないという方が多いようで、質疑応答も旧タイプの復活を望んだり、部品供給の復活を喜んだり。
会場には、ファン垂涎ものの車やバイク。
そして、介護分野や農業分野の製品も並ぶのがHONDAらしさでもあり、こらからの日本に欠かせない企業であると改めて感じる。
総会の前に、アメリカ大会にて佐藤琢磨選手が大活躍をしたことで、彼の等身大のパネルもあった。
総会も怒号が飛ぶこともなく、穏やかである。そして、経営陣も紳士的であることが感じられた質疑応答の2つを紹介したい。(内容を変更しない範囲で省略形にて記載。⇒以降が経営陣の返答。)
① 環境、安全を重視というが、ITの技術者の育成はどうしていくのか?
⇒人と共感できるAI開発。IT技術に限らず人材育成をしていきたい。
人が主役の観点で赤坂に技術者を育てるラボを新設した。
② モータースポーツF1への具体的な取り組み
⇒株主の皆様、ファンの皆様の期待に沿えずに申し訳ない。
HONDAの象徴として注力すべきと考えている。
昨年、出力UPをねらった新エンジンをを開発。問題が生じたため、新チームを立ち上げ取り組んでいる。マクラーレンとのパートナーシップを維持していく。
若い技術者もこの苦しみを乗り越えることにより成長していくと期待している。
この2つからも、技術者を含め、人材育成を大切にする姿勢を感じた。
経営陣の挨拶と業績などの説明後の質疑応答に押されて、形式的になりがちな議案事項についても別途、質疑応答を設けるスタイルがHONDAの株主総会。(議案ごとに質疑応答を行う丁寧なスタイルである。)
HONDAらしさを感じた事項を抜粋して紹介したい。
第1号議案:余剰金の配当 1株24円
自己株式の買取は?株価が低いのはそのせいではないか。⇒決まった予定なし。資本効率の一つとしてとらえている。
買取実施は?⇒計画なし。財政状況と資本政策による。
株主重視に走り、自社株買いが流行る株主至上主義ではないことを感じた質疑応答であった。
第3号議案:取締役9名の選任
F1担当取締役の廃止⇒4/1に新規にモータースポーツ部を立ち上げ、松本取締役はそこの責任者になり、発展的な形で、研究所の所長でもあることは変わらない。
取締役が現場で頑張る姿勢を心強く感じたのは私だけではないだろう。
決定プロセス⇒性別、国籍の属性ではなく選出。候補者は代表取締役か取締役会が提案して、取締役会で決定される。社外取締役もHONDAの考え方、理念を重視。各地方の現地法人の社長に外国籍の人材もおり、今後も育成していく。
外人、女性優遇にて、疑問のある選出ではなく、本社の取締役が日本人のみ男性のみでも堂々たる姿勢に共感した。形式ではなく、HONDAの最善でこれからも進んでほしい。
社外取締役は兼任が多いがHONDAに時間をさけるのか。⇒兼務の場合は、当社に時間を確保できることが条件。取締役会にすべて出席しており、重要なイベントにも出席しており、事業所を巡回している。
担当の議題が予想される事態ですら株主総会を欠席する社外取締役(同年3月電通では、社内問題により自殺し、社会的問題になった高橋まつりさんの問題が紛糾していたが、労務管理のスペシャリストとして新任候補の取締役は欠席であり、ほかの取締役が質疑応答に対応する信じられない事態であった。)がおり、安堵した株主も多かっただろう。
第5号議案:取締役の報酬額(第2号議案の可決により監査委員は除くため、総額減少。
11億6000万円以内、社外2名で3400万円以内)
安くはないが、9名で11億6000万円。日産とは大違いである。兼任が可能な社外取締役の金額も他社と比較し、まともな金額であろう。
毎年、いい人材を確保するためにはお金が必要だと冒頭でゴーン氏が語る日産とは、比較にならない株主総会であった。
HONDAにはこれからも、株主だけ重視ではなく、人材を育て、銭ゲバ取締役に乗っ取られず経営してほしいと思う。株主も、配当だけでなく、HONDA愛の人で経営陣を支えてほしい。
久々に心が温かくなる株主総会であった。