TPPの最大の問題点「説明責任を果たさない政府と部分報道に終始するマスコミ」【TPPとは~その1】
TPPと言われても、自動車の輸出には有利で農業は厳しくなる。そんなイメージしかないのではないか。TPPが締結されれば、関税が即時なくなると思い込んではいないだろうか。それは大きな間違えである。
確かにTPPは関税自主権の喪失である。明治の開国の際の不平等条約を祖先が日清戦争、日露戦争と戦い、関税自主権を回復した。それを手放すということは紛れもない事実である。
しかし、即時撤廃になるわけではない。日本は輸出の25%をしめる自動車および部品にメリットがあると想定される。これらを含む工業製品を見てみよう。シンガポールの即時撤廃率は100%、すでに日本と協定があるため実質かわらず、日本は99%、・・・・そして一番撤廃率が低いのは大国アメリカ様67%である。アメリカ様が日本から車や部品を輸入する際の関税は最長で29年後に見直しや廃止というものまであり、部品も15年後などということを聞く。日本にとって最大のメリットと言われる自動車の関税は即時撤廃にはならず、アメリカ様の都合により30年かけて撤廃に向かうことになる。
反対に厳しいという農業はどうであろうか?まずは、遺伝子組み換え作物は拒否できないだろう。現行では、遺伝子組換えの有無は明記されているが、その記載により貿易が不利になるから記載するな、と言われている。
遺伝子組み換えの作物の一つに大豆がある。日本で消費する大豆の97%は輸入であり、輸入元はアメリカ65%、ブラジル、カナダである。醤油、みそ、納豆、きなこ、めんつゆ、菓子類などに含まれる大豆製品。毎日欠かさず口にする大豆に遺伝子組み換えの使用することを国民は望んでいない。回避するために産地により選択することになるが、ラベルの細かい文字に高齢者はもちろんのこと、一般主婦も確認で時間もロスで面倒で仕方がない。
また、「関税を守る」というセリフには意味がない。例えば、700%関税のこんにゃくが1%になっても0%ではないので関税を守ったことにはなる。関税の「現状維持」と関税を「守る」ということは違う言葉である。
このように貿易だけでみてもメリットより、デメリットが多くなるとしか思えない。
重要なことは貿易よりも、保険や医療など様々な分野で威力を発揮する国際条約がTPPということである。国民の大半はもちろん、国会議員ですら全容を理解しているとは思えない。
肝心のアメリカ様はヒラリー女史、トランプ氏ともTPP反対を表明している。TPPは参加国のGDPの合計の85%の賛成により批准される。つまりアメリカか日本が反対したらTPPは批准されることすらないのだ。
国民は内容ついても、批准にGDPの85%の賛成が必要なことについても理解していない。政府は説明責任を果たしていないのだ。
賛成するにしても反対するにしても、内容を把握せずには出来るわけがないのだ。政府に説明責任も求めず、部分的に貿易しか触れないマスメディアもまともな報道をしておらず、彼らも不勉強極まりない。プロとして恥じるべきである。
次回以降は貿易以外に焦点をあててTPPを取り上げていきたい。