【農協解体を押し付けるグローバリスト】自民党の農政
保守王国と言われた新潟県知事選挙で与党は敗北した。新潟県は米どころで田中角栄元総理の地盤である。彼は農家を回る時にたい肥を素手で触り、親身に地元の声を吸い上げ、日本全国のインフラ整備に貢献した偉大な政治家の一人だ。晩年、ロッキード事件により政治生命を絶たれたことが残念である。
現在の自民党はどうであろうか。田中角栄のように国家のインフラを語り、夢を国民とともに語る政治家はいるだろうか。戦後、焼け野原の中、国民の食料確保に奔走した政治家のように国民の生命や財産を守ろうとする政治家はいるであろうか。国籍詐称や白紙領収書など、詐欺師の集団にしか見えない。
この知事選の翌日の国会の質疑応答にも程度の低い猿芝居が繰り広げられた。自民党農林部会の小泉進次郎が、TPPにむけ農協改革という名のもとに、農協やJAに難癖をつけて世界に門戸を開放しろ、戦う農家が素晴らしいというような発言をしていたのだ。
農協改革というが、国民や農家が頼んだのであろうか。農協改革により、利益と不利益があるだろうが、国民と農家に説明したのだろうか。世界にむけて農作物を輸出することは構わないし、農家が利潤を追求することも構わない。正直なところ、多くの国民にとり高級和牛や高級果物などが輸出されようが、されまいが、自分の食料が確保できればどうでもいいのである。
国民にとって一番重要なことは安全に胃袋を満たす食料が供給されることだ。例えば、主食を安いからと輸入に頼り、不作や災害や相手国との関係悪化や買い負けにより入手できなくなった場合はどうするのだ。今から30年ほど前に冷害による米の不作があった。不足分は需要からみればわずかであったが国をあげて右往左往したではないか。完全自給でき余剰米がある状態ですら天候によりこのようなことがあるのだ。主食を輸入に頼ることは非常に危険である。私は、個別の農家が補助金をもらわず経営することも輸出することも反対しているのではない。しかし、それを賛美して、国民の胃袋を語らない小泉進次郎は何様のつもりなのだ。食料の安全保障はお金の問題ではない。安いからと肥料や主食を海外に依存することは非常に危険なのである。それが証拠に災害時、インフラが破壊されたときに水や食料に困るではないか。孤立したときにお金や宝石で胃袋は満たされないのである。政治家が金儲けでしか、農業を語らないとはお粗末にもほどがある。その小泉進次郎を持ち上げる安倍総理との質疑応答に、非常な怒りと不安を覚えた。
農業は、既得権益とのレッテルが貼られがちだが、高度な技術を要し、技術取得には長期間かかるゆえ、世襲が多いのである。自然も相手にした非常に高度な技術者が農業従事者なのである。失礼ながら政治家の世襲とはわけが違うのだ。日本の農家は欧米の先進国に比べて非常に国家の補助金が少ない。既得権益だとか保護されているなどのイメージで、農協やJAをいじめることは国民の胃袋を考えていない証拠である。小泉進次郎らグローバリストはどこまで日本解体をするつもりなのであろう。郵政解体は、地方を疲弊させ東京への一極集中を加速させた。アメリカ様の参入によりアメリカ様の企業が儲け、天下りの廃止にもならなかった詐欺話だったことを国民は忘れていない。銭ゲバのグローバリストでいる限り、自民党は新潟県知事選挙のように支持者から背を向けられるだろう。
写真:産経新聞より