『母体保護』から女性戦闘機パイロットを危惧する~自衛官の人出不足と福利厚生を考えるVol.2~
潜水艦の次は戦闘機パイロットについて懸念を書いてみたい。
先日、航空自衛隊で初の女性戦闘機乗りが生まれた。
こちらも、9Gの重力を受けながらスクランブル等に対応できるよう、大変過酷な訓練を受けてきたであろうし、今後も女性の身体に酷しい任務が続くであろうが、こちらも戦闘機職域を開放しなかったのは『母体保護』のためであった。海外ではすでに、女性トップガンはいるのでやっと日本もか、と喜びの声が聞こえる一方、果たして本当にこれが男女平等なのかとも疑問を抱かざるを得ない。
一見、女性が男性の領域に進出することは[進歩的]にうつる。しかしそれが[人出不足]ゆえの数合わせなら大問題だ。
現時点で働く女性自衛官を支援できるだけの環境は十分整っているのだろうか?
自衛隊の中にいくつか保育園など子供を預ける施設が併設されている基地はあるものの、そのような施設の無い駐屯地や基地に勤務する女性自衛官はどうしているのだろう?
待機児童となり育児休業から復帰するにもできない女性自衛官はたくさんいるなら実にもったいない話ではないのか。
昨今自衛隊には人が集まらず、非常に厳しい募集環境に防衛省自衛隊は頭を悩ませているという。
災害時には[神様]にみえると被災者経験者はいう、自衛隊。私たちを護ってくれるありがたい自衛隊。
では何故深刻な人不足なのか。
それは、職場として魅力がないからではないだろうか。
災害派遣で疲れを癒す官舎は水漏れ、漏電は頻繁に発生し、中には築50年以上のボロばかり。残業代は無いし、時間外もない。労働基準法外の存在。
昔なら各種免許をとれたのに今は予算がないからと、魅力的な免許もとらせてもらえてないらしい。
予備自衛官と入隊年齢の引き上げなど、その場かぎりの思い付きの施策を打ち上げ、退官した後の就職先探しに苦労する隊員は多い。
そんなことより退職年齢引き上げ、手当て、退職金の増額ではないのか。
人に予算をつけないで、人来ないと嘆くのはおかしい。
しまいには海外で、命がけで記録した日報は隠されて。
まさに、ブラック。
「自衛隊ありがとう」
よく保守を名乗る方はいう。しかし、何故か彼ら自衛官の福利厚生には興味がないらしい。
初の女性潜水艦乗組員、初の女性戦闘機パイロットはマスコミで華々しく取り上げられるだろう。アイドル扱いする人もあらわれるだろう。
任務は勿論なのではあるが、結婚し、家族を持ち、できれば子供をつくってほしい。少子高齢化の日本では子作りも立派な国防だからである。
妊娠出産・子育ては女性の器を大きくするものだ。
使い潰されるのではなく、更に一段と大きくなって自衛官という素晴らしい職業を全うしてもらいたい。
最後に。現在数名が自衛官から国会議員になっている。
彼らにはなぜ人不足なのかをじっくり深く考えてもらいたいものである。