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株主総会2021エネオス~カーボンニュートラルへの挑戦~

 2021/06/27 株主総会
この記事は約 7 分で読めます。 9,058 Views

JXTGから社名が変わったエネオス。社名は変更になったが株主総会の会場は例年どおり、皇居横のパレスホテル東京で行われた。

10:00 開会 総会の流れについて説明

 

10:04 報告事項

決算、中期計画などをスクリーンを利用しながら説明。

 

新型コロナの影響は2022年度も影響があると見なし、3カ年で500億円のマイナス影響があると考えるが、株主の利益還元が経営の最重要課題であることに変更はなし。

 

脱炭素、カーボンニュートラルが世界の潮流であり、エネルギーや素材を通じてSDGsに貢献していきたい。

 

具体的な計画として、二酸化炭素フリーの電気の地産地消。天候による不安定は、蓄電、EVでエネルギーマネジメントを行う。

自治体(静岡県)での次世代エネルギープラットフォームなど。

 

EV化の流れには、7/1に立ち上げるEV事業推進部を核として、モビリティ分野、エネオス電気で具現化していく。

 

二酸化炭素フリー水素は、将来の柱として海外の安価な水素を液化水素とアンモニアに変えて輸入し、クリーンな水素を国内の工場や家庭などに提供していく。

 

二酸化炭素フリー燃料は、既存のインフラを活用できる利点があり、安定的な供給が可能であり、顧客にとっても利便性が高い

 

金属も、精錬とリサイクルを一体化していく。

 

10:17 監査報告

 

10:19 総会成立の報告

 

10:20 決議事項の説明

①剰余金の処分

②監査等委員以外の取締役11名の選任

③監査等委員である取締役2名の選任

 

10:24 事前質問への回答

(200を超える質問があり、総会で回答しなかった質問の内、関心の高い質問を後日WEBで公開。)

 

株価が上がらない理由と対策。

 

脱炭素化により、当社が利益をあげられないという株式市場の判断だろう。

現状に満足せず、新規事業などで株式市場に評価されるように努める。

 

配当報酬について。

 

株主への利益還元が最重要課題であり、安定的に現状を下回らないよう、追加還元も目指していきたい。

 

カーボンニュートラル、二酸化炭素実質ゼロに、どう対応していくのか。

 

→2040エネオス長期ビジョン。

国内需要が2040年までに半減すると考えて、事業構造を変えていく。

自社の二酸化炭素の削減、サプライチェーンの二酸化炭素フリーを推進していく。

製油所なども自動運転に切り替え省エネを推進する。

 

10:29 質疑応答の説明

会場を縦にABCブロックに分け、挙手の株主を指名。

(質問者がCブロックに集中しており、結果として指名もCブロックに集中。前方、後方などの偏向なし。)

 

➀ 御社は東京五輪のスポンサーだが、聖火リレーの聖火が何度も消え、トーチでの火災事故も発生しており、心配している。

ゴールドスポンサーになったメリット、デメリット、費用について聞きたい。

→コロナ対策をし、絆を大切にし、安心安全な五輪という方針に賛同している。

メリットは、当社の様々エネルギーを提供し、水素など新しいエネルギー供給対応していることを周知。広告効果。

デメリットは、コロナにより事前の宣言活動を自粛しなくてはならないこと。

費用についての回答はなし

 

 

コロナワクチンの職場対応は?

 

→健康と石油の提供が当社の役割であり、事業所や製油所など1万人を予定し、6月21日より開始。

正社員、派遣社員ともに接種を実施する。

 

スタンドも対象か?

 

→販売会社は販売会社で接種をスタートしている。

 

③ 脱炭素で化学燃料からの転換をする当社だが、合成ゴム事業の買収効果、目算と戦略を知りたい。

 

→当社はガソリン以外のEV事業展開をしている。

合成ゴムの競争は、汎用品は中国や韓国との厳しい価格競争だが、セラストマー事業は高機能品において世界シェア3位に入る。

高機能ゴムは利益率が高く、買収前に60億円のコストカットを契約の条件とし、130億円の利益を見込んでいる。

タイヤガソリン車が減少しても、車両に必要不可欠な成長分野と考え、素材分野の一つの柱となりうる。

研究体制などでシナジー効果もはかる。

 

水素事業について、燃料電池が普及していない。普及の課題は?

 

大量に使用しないとコストが安くならない。発電、鉄鋼などで使うことにより、コストが下がる。

政府も推奨しており、クリーンな水素への取り組みが加速していくと、事業の大きな柱となると考え、今後も水素事業を育てていく。

 

⑤ 財産展開について。製造拠点の統廃合による土地の売却は?

 

→製造拠点の土地活用は、土壌の問題があり単純ではない。場合により売却したり、再エネ基地として転用したり、していく。

今後も必要に応じて資産を売却し、資産と負債のバランスを保っていく。

 

10:55 コロナ対策にて、あと質問は2名。と議長。

 

旧モービルのスタンドはエネオスに統合されたが、決算方法が統一されておらず、今後統一されるのか?説明が不足している。

 

→現状はPOSのみエネオスだが、今後は残りも統合していく。

 

⑦ 長期計画における危機管理は?

海外では中国、台湾の暴動やミャンマーのクーデター、国内では大型台風や地震などのリスクがある。

 

→事業にはリスクがある。リスクをピックアップをし、包括的に総括する場を設けている。

海外や、国内の災害だけでなく、人権や内部統制リスクなども含め、対応していく方針。

 

11;01 決議事項を採決→拍手で承認。

 

11:02 新任取締役の紹介

 

11:03 閉会

 

東京五輪のゴールドスポンサーであり、エネルギーを提供するエネオス

 

本来ならば、五輪効果などをアピールしたいところだろう。

 

しかし、聖火リレーでの不祥事や火災事故が相次ぎ、心配する株主への返答のみで

事業報告では一切ふれられることはなかった

国民の8割が中止や無観客開催を望む現状では、他社同様、株主総会で五輪スポンサーであることには触れたくないのだろう。

 

流行りの海外M&A。合成ゴム事業の買収案件を不安視した株主から質問がでた。

 

わずか5年間で6190億円の損きり売却処分をするも、誰一人責任をとらない日本郵政とは違い、

グローバルで活躍してきたエネオスは、買収前に不採算部門を60億円処理してから買収するそうで株主として少し安堵した。

 

事業報告のメインは、脱炭素、カーボンニュートラルであった。

 

既存のガソリンスタンドの拠点を活かした、水素エネルギーの提供。

工場や発電での水素エネルギー提供。

 

化石燃料からの切り替えのため、事業変革を行っていく具体的な取り組みや将来の展望が示され、

石油産出国周辺の危機が株主質問にでた昨年度とは、空気が変わったように思えた。

 

パリ協定をうけ、金融機関にも脱炭素が要求され、石油を提供する会社も事業変革をはかり、

新規産業の育成を模索する姿勢は、まさに今年の株主総会の時流そのものだった。

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浅野 耀子

浅野 耀子

さざれ石の会の会員として、都内で街頭演説、室内トーク、コラム執筆。
障がい児の親としても、障がいとの共存を模索しながら、子供たちと共に成長を目指す発展途上中の母親。

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