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【寄稿Vol.1 山川太蔵氏】「中国に謝罪」とは一体誰に謝罪せよ、と言うのか

 2017/11/18 寄稿
この記事は約 4 分で読めます。 7,244 Views

「日本は中国に対して謝罪せよ」世間でこう言われるようになってから久しい・・・
しかしこのように主張する人たちは、「中国」とは何か、特に日本が相手をしてきた国は何か、これが解っていないように見受けられる。

そこで、一旦概念の整理を行ってみたい。

※日本軍が戦っていた「中国」は、今の「中国」とは無関係

今の中国政府は、【1949年】に成立した。「中国三千年の歴史」とは虚構である。中国政府の理屈は、邪馬台国や三内丸山遺跡を「今の日本国」と結合させて、「日本には一万年の歴史がある」と言ってるのと同じなのだ。さて、1949年に成立した「中国」と、1945年に連合国に降伏した日本がどうして戦えるのであろう?ここに概念の混乱がある。

※「中国」はいくつも存在した

戦争中、日本が戦っていたのは、「”蒋介石の”中華民国」であった。今の「中華人民共和国」ではないし、「中華民国全て」を敵に回していたのではないのである。当然、「蒋介石の」中華民国と敵対していたという事は、「反蒋介石の」日本に協力的な「中華民国」も存在した。「中国と同盟しながら、別の中国と戦争していた」と言えば解るだろうか?「中華民国」という概念が、当時の日本人ですら大混乱するほど錯綜していたのであった。

※統一された「中華民国」などは存在しなかったと言って良い

1911年、辛亥革命が勃発、孫文を初代大総統とする「中華民国」が成立する。しかしこの時点では未だ「清王朝」は存在していた。孫文は革命優先の為に清王朝の実力者である袁世凱と結び、1912年には清王朝最後の皇帝である溥儀が退位。袁世凱をトップとする、統一された「中華民国」が成立したのであった。しかしこの「統一」はたった一年で終わる。自らを皇帝とした新しい王朝を作ろうとした袁世凱は、孫文との協定を破棄。それに対抗する為に、孫文は広州で「中華民国」を旗揚げし、袁世凱の「中華民国」と対決したのである。つまりこの時点で中華民国」が、「二つ」出来た事になる。

またこの当初の段階での実力は、清王朝の精鋭を引き継いだ袁世凱の政府の方が優勢であった。日本も含めた諸外国は、袁世凱の中華民国と交渉を行い条約を結んだ。

※分裂し始める「中華民国」

その後袁世凱は1916年に死去。後継者争いが勃発し、袁世凱の部下であった安徽派と直隷派が共に「中華民国」を名乗って内戦を始める。この時期は、一年や二年でころころ「中華民国」の指導者が代わる状態である。無論、この間も孫文系統の「中華民国」は存在し続けた。つまり自称「中華民国」は複数存在していた。

※「統一」されたがしかし・・・

これが1928年、孫文の後継者を主張した蒋介石の中華民国によって、「統一」されたのであった。日本がそれまで北京の「中華民国」と結んでいた全ての条約は一方的に破棄された。しかし今まで内戦状態に在った国がそうそう簡単に一つになどまとまるはずも無く、「統一」のわずか一年後には、再び「中華民国」を名乗る者同士で内戦が開始されたのであった。当時の日本が対峙していた「中国」とはこんな状態であったのである。一つの「中華民国」と誠実に交渉して条約を結んでも、別の「中華民国」では何らの効力も持たなかった

※日本が戦った「中国」の実態

1937年、「盧溝橋事件」が勃発。日本は「中華民国」と名乗る国と「北支事変」、そして「支那事変」を戦う事になった。しかし実は北京周辺の盧溝橋付近に存在した「中華民国」とは、蒋介石の「中華民国」とは別系統だったのである。結局は蒋介石の「中華民国」とも、日本は干戈を交える事になったのだが、その理由は「盧溝橋事件」ではなく、蒋介石が上海の日本租界を無差別空襲するという敵対行為を行ったからであった。この時、戦後日本の名物大使であった「ライシャワー」アメリカ大使の兄も、爆撃に巻き込まれて亡くなっている。

日本は、反日派ではない「中華民国」とは連携し、反日派である蒋介石の「中華民国」とは対決した。そういう状態であった。「中国人民が一丸となって日本に抵抗していた」という事実は無いし、ましてや、「今の中国」などはほとんど何の活躍もしていなかった

※結論

さて、冒頭の話に戻る。「日本は中国に謝罪せよ」 一体誰に謝罪すべきなのか?

反省すべきは日本人に多くの死傷者を出した事、そして日本と協力してくれた「中華民国」を勝利させてあげられなかった事ではなかろうか?

写真:ジュニア歴史資料より

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浅野 耀子

浅野 耀子

さざれ石の会の会員として、都内で街頭演説、室内トーク、コラム執筆。
障がい児の親としても、障がいとの共存を模索しながら、子供たちと共に成長を目指す発展途上中の母親。

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